【ロンドン 9月14日】
本日、イングランドおよびその植民地全域において、これまで用いられていたユリウス暦に代わり、教皇グレゴリウス13世の制定による「グレゴリオ暦」が公式に採用された。この改暦により、9月2日の翌日が一挙に9月14日となり、歴史上前例のない“日付の飛躍”が生じた。市民の間では混乱と不信の声が上がっている。
この決定は、1750年に可決された「改暦法(Calendar Act)」に基づくもので、すでに多くのカトリック諸国が150年以上前から採用していた新暦にようやく英国も歩調を合わせた形だ。背景には、春分の日と復活祭の計算において誤差が生じていた旧暦の問題があり、宗教行事や国際的な商取引の円滑化を目的として改暦が進められた。
だが、一般庶民にとっては「突然10日間が消えた」との認識が強く、「時間を盗まれた」「賃金は支払われるのか」といった声があがっている。ロンドン市内では一部の労働者が抗議行動を行い、「失われた10日を返せ」との横断幕を掲げて議会前に詰めかける場面も見られた。
一方、王室や科学界からは「国際的信頼性の確保に必要な一歩」として肯定的な見方も示されている。ロイヤル・ソサエティの天文学者は「我々の暦がようやく真の天文学的基準に則ることとなった」と歓迎の意を述べた。
“歴史が一夜で10日進んだ”今回の改革。実利性の高さと国民感情との間で、議論は今後もしばらく続きそうだ。
— RekisyNews 社会面 【1752年】