【東京 9月13日】
本日、明治天皇の大葬の儀が東京市で厳粛に執り行われ、日本中が深い哀悼の意に包まれた。帝都を貫く葬列は、早朝より青山を出発し、午後には京都・伏見桃山陵へ向けての奉送が始まった。国民は沿道に詰めかけ、明治大帝の御霊を静かに見送った。
しかし、この国喪の最中に衝撃的な報が走った。陸軍大将・乃木希典閣下（63）が、妻静子夫人とともに自邸にて自刃し、殉死を遂げたのである。遺書には、かねてより「天皇陛下の御後を追いたし」との思いを抱いていた旨が記されており、明治への忠誠を貫く覚悟が読み取れる。
乃木将軍は日露戦争における旅順攻略戦で名を馳せ、国民的英雄として知られた人物である。質素と忠義を重んじるその生き様は多くの国民に尊敬されてきた。明治の精神を体現した将軍の殉死に、各地からは驚きと深い感嘆の声が寄せられている。
明治天皇の崩御と乃木夫妻の殉死は、一つの時代の終焉を象徴する出来事となった。国民の間では「明治が本当に終わった」との声も聞かれ、今後の大正の世に何がもたらされるのか、注視されている。
— RekisyNews 社会面 【1912年】
