【ヒューストン 9月12日】
本日、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは、テキサス州ヒューストンのライス大学スタジアムで歴史的な演説を行い、アメリカが今後10年以内に人類を月に送り、無事に帰還させるという大胆な宇宙計画の意思を改めて表明した。
大統領は集まった約4万人の聴衆を前に、次のように語りかけた。
「我々は月に行くことを選択する。それは容易だからではなく、困難だからである。」
この言葉は、聴衆から大きな歓声と拍手を呼び起こし、宇宙開発への国民の意識を大いに高めた。演説では、技術革新や国家の進歩を象徴する挑戦として宇宙開発を位置づけ、「月面着陸という目標は、アメリカ人のエネルギーと創造性、そして意志の強さを試す試金石である」と強調した。
冷戦下において、ソビエト連邦が宇宙開発で先行する中、アメリカは「スペース・レース」の巻き返しを図るべく、NASA(アメリカ航空宇宙局)への国家予算の大幅な増額を決定しており、この演説はその象徴的な節目となった。
専門家の間では、月面着陸は技術的にも財政的にも極めて困難とされているが、ケネディ大統領は「国の威信と未来の繁栄のため、今こそ挑戦すべき時だ」と語り、国民に協力と支持を呼びかけた。
この一歩が、やがてアポロ計画へとつながり、宇宙時代の扉を開くものとなるのか、世界が注目している。
— RekisyNews 国際面【1962年】