【東京 9月12日】
本日、大蔵省は「金貨幣又ハ金地金輸出取締ニ関スル件」を官報にて公布し、金貨および金地金の国外輸出ならびに鋳潰しを全面的に禁止する措置を発表した。これは、欧州大戦(第一次世界大戦)の影響によって金の国外流出が加速している現状を受け、国家の金準備を維持するための緊急措置とされる。
今回の公布により、日本国内で流通する金貨や金地金を私的に国外へ持ち出す行為、また金貨を溶解して地金化する行為はいずれも厳重に取り締まられることになる。これには、経済活動の自由に一定の制約が課されるものの、政府は「通貨制度の安定と国際信用の保持が国家の最優先事項」として理解を求めている。
日本銀行や民間銀行からも、近年の貿易黒字や国際的な金利差により、金が大量に海外へ流出しているとの懸念が寄せられていた。特に、欧州列強が戦費調達のため金本位制を一時停止する中、日本の金貨が国際市場で高く評価される傾向にあり、無秩序な輸出が続けば国家経済への打撃も予想されていた。
政府関係者は、「金本位制の根幹を揺るがさぬよう、今後も状況に応じた追加措置を講ずる」としており、今後の経済政策の動向に注目が集まっている。
— RekisyNews 経済面【1917年】