【パリ 9月11日発】
フランス王室の誇る至宝「ブルーダイヤモンド(Le Diamant Bleu)」が、王室の宝玉庫「ガルド=ムブル」から何者かによって盗み出されるという前代未聞の事件が発生した。革命の動乱の只中にある首都パリは、さらに大きな衝撃に包まれている。
このダイヤモンドは、インドのゴルコンダ鉱山からもたらされたとされる深い青色の宝石で、かつては「王の青」とも称された。ルイ14世の時代に「フランス王の青いダイヤモンド(French Blue)」として加工され、代々の王の威信を象徴してきた存在である。
盗難が発覚したのは、国民議会が王家の財産を国有化し、全ての王室宝飾品をガルド=ムブルに保管していた矢先のこと。革命の混乱に乗じ、宝石類が数日にわたり徐々に失われていたことはすでに確認されていたが、本日になってついに「ブルーダイヤモンド」もその中に含まれていたことが明らかとなった。
警備当局は「内部関係者による計画的犯行の可能性も視野に入れ、調査を進めている」と発表したが、首都の治安は依然として不安定であり、盗難品が国外へ持ち出された懸念も拭いきれない。
市民の間では、「王室の呪いが始まったのではないか」「宝石を巡る血の因縁」といった不安の声も上がっている。特に「ブルーダイヤモンド」は、その強烈な青色と神秘性ゆえに、古くから災厄をもたらすとする噂もあった。
現段階では、犯人の特定や宝石の行方については明らかにされておらず、今後の捜査が注目される。
— RekisyNews 国際面 【1792年】