【ラヴェンナ 9月4日】
本日、ロムルス・アウグストゥルス帝(推定16歳)が日耳曼人将軍オドアケルの軍勢により退位させられた。これにより、かつて地中海世界を席巻した西ローマ帝国は、事実上その幕を閉じることとなった。
オドアケルは、自らの兵士であるゲルマン傭兵への報償と土地の分配を求めるも、帝国上層部に拒まれたことをきっかけに蜂起。北イタリア一帯を制圧し、皇帝の居城があるラヴェンナへと進軍した。皇帝を保護していた軍司令官オレステスは捕らえられ処刑され、翌日には皇帝自身も退位を迫られた。
ロムルスは即位からわずか1年足らずで玉座を追われたが、命は奪われず、現在はナポリ近郊にあるカンパニアの邸宅に軟禁されるかたちでの余生が報じられている。若年での即位に加え、父オレステスの傀儡と目されていたことから、彼の退位は民衆に大きな動揺を与えていないという。
オドアケルは新たな支配体制として「イタリア王」の称号を掲げ、東ローマ帝国皇帝ゼノンに対し、もはや西側に皇帝は不要であるとする意向を伝達済みとの情報もある。皇帝の印璽と帝冠はコンスタンティノープルへ送還される見込みで、皇帝の権威を一本化し、帝国の再統合を模索する動きとも見られている。
「ローマ」は、王政から共和、そして帝政へと変遷しつつ、千年にわたり繁栄を築いた。しかし、その栄華も今、ゲルマン人の台頭と相次ぐ内乱に呑まれ、終焉を迎えた。民衆の間には、「ローマは滅びたのではなく、形を変えたのだ」との声も聞かれるが、その未来はなお混沌の中にある。
— RekisyNews 帝政終末面 【476年】