【東京 9月2日】
本日、海軍大将で元首相の山本権兵衛氏(70)が第22代内閣総理大臣に就任し、第2次山本内閣が正式に発足した。関東大震災発生からわずか1日後という未曾有の混乱の中での組閣であり、政府は震災対応と復興政策を最優先課題として掲げている。
8月24日に内閣総辞職を表明した加藤友三郎前首相の急逝後、後継首班をめぐる調整が続いていたが、元老・西園寺公望らの推薦により、海軍・政財界双方から信頼の厚い山本氏に白羽の矢が立った。組閣本番を迎えた矢先、昨日1日に関東大震災が発生。首都圏を中心に甚大な被害が広がる中、迅速な政治体制の再構築が急務となった。
新内閣の顔ぶれは、震災復興を意識した実務派で固められている。内務大臣には後藤新平氏、蔵相には高橋是清氏が就任。特に後藤氏は、震災からの復旧・都市再建を主導する「帝都復興院(仮称)」の設置を提案しており、政府・民間合同の大規模復興計画が検討されている。
山本首相は就任会見で、「未曾有の国難にあたり、国民の生命と生活を守ることが最優先である。内閣一丸となって復旧・復興に全力を尽くす」と述べた。また、食糧・医療・住居の確保に向け、軍隊動員による救援体制の強化も明らかにした。
一方で、震災による社会不安の拡大を受け、治安維持への懸念も高まっている。東京市内では一部で暴動や略奪の情報が伝えられ、警視庁と陸海軍が共同で警備を強化。政府は戒厳令の発令を検討しているとの未確認情報もある。
第2次山本内閣は、震災対策だけでなく、財政再建や外交交渉など多くの課題を抱えての船出となった。今後の政策運営は、国内外から厳しく注視されることになりそうだ。
— RekisyNews 政治面 【1923年】