【パリ 9月2日】
前フランス国王ルイ14世が先月9月1日に崩御し、本日、孫にあたるルイ15世(5)が正式に国王として即位した。これに伴い、王太子の叔父であるフィリップ・ドルレアン公(41)が摂政に任命され、王国統治の全権を掌握することとなった。
ヴェルサイユ宮殿で執り行われた宣誓式では、幼い国王が玉座に座り、側近らの補助を受けながら王権継承を宣言。宮殿内は荘厳な雰囲気に包まれ、多数の貴族や廷臣が列席した。摂政に就任したフィリップ公は「王国の安定と繁栄のため、国王陛下の代行として全力を尽くす」と語り、会場からは拍手が沸き起こった。
しかし、ルイ14世の死後、王国は大きな転換期を迎えている。72年にわたる“太陽王”の統治は、絶対王政の象徴として国を強大に導いた一方で、長期戦争と華美な宮廷文化がもたらした財政難は深刻だ。ヴェルサイユの豪奢な生活を維持する一方で、各地では重税に苦しむ農民や商人の不満が高まりつつある。
さらに、宮廷内では摂政就任をめぐる権力争いも表面化している。故王の遺言では、嫡子であるブルゴーニュ公系の遺児たちを優先する意向が示されていたが、フィリップ公はこれを事実上退け、自らの政治主導権を確立。これに対し、王族派の一部や高等法院(パルルマン)内部からは反発の声が上がっており、宮廷政治は早くも不安定さを見せ始めている。
市民の間では「幼い王の将来を案じる声」と「摂政公の実務手腕への期待」が交錯している。パリの商人の一人は本紙に対し、「戦争よりも安定した税制を望む。摂政公には国庫を立て直す役割を果たしてほしい」と語った。
ルイ15世が成人するまでの約10年間、王国はオルレアン公の采配に委ねられることになる。栄光と疲弊が交錯するフランスは、今まさに歴史の分岐点に立たされている。
— RekisyNews 欧州王室面 【1715年】