【関東広域 9月1日】
本日11時58分ごろ、関東一円を強い地震が襲い、東京・横浜を中心に家屋の倒壊と道路の断裂が相次いだ。瓦礫と土煙が街路を覆い、避難する人波が公園や河川敷へ殺到。余震は断続し、煉瓦造りの壁面や煙突が崩れ落ちている。市内各所で出火が同時多発し、風にあおられて延焼。正午の煮炊きの火が災いしたとの声も多い。
下町では木造密集地で火勢が強まり、広場や堤防への避難が続く。渦を巻く火の走りが見えたとの証言もあり、火の粉は橋や倉庫、学校の屋根に降り注いだ。横浜港では埠頭の沈下や岸壁の亀裂が報じられ、荷役は停止。倉庫街の出火に加え、山手の斜面でも土砂崩れが発生した。
鉄道はレールの歪みと停電で広域に運休、駅は帰宅を断念した人々で混雑する。電信電話は途絶がちで、無線と伝令に頼る地域も多い。相模湾沿岸や房総の一部では津波の報があり、海辺の家並みと船だまりの被害が懸念される。井戸水の濁りやガス漏れの情報も寄せられた。
政府と府県は非常対策の会議を開き、陸海軍の部隊が救護・給水に出動。学校・寺社に臨時救護所を開設し、炊き出しと仮収容を始めた。衛生当局は伝染予防のため、井戸の消毒、遺体の適切な処置、汚水の放置厳禁を指示。各国公館や在留商館も医薬品や毛布を提供している。
市民には、倒壊家屋への立ち入りを避け、通りの出火監視と延焼遮断のための破壊消火に協力するよう呼びかけが出た。流言に惑わされず、自治体の掲示する避難場所と負傷者名簿を確認してほしい。夜半にかけ風向きと余震の見通しは不明で、避難生活の長期化が懸念される。
— RekisyNews 社会・災害面 【1923年】