【ロンドン 8月31日】
イングランド王国は本日、ヘンリー5世の急逝を受け、生後わずか9か月の王太子ヘンリーが新たな国王として即位した。王位継承は順当に行われたが、幼王の誕生により王国は長期にわたる摂政統治の時代に入る見通しだ。
先王ヘンリー5世は、百年戦争での名将として知られ、フランスにおけるアジャンクールの大勝をはじめ数々の戦果を収めていた。しかし今月31日、遠征中に病に倒れ、35歳の若さで急逝。その遺児であるヘンリー6世が王位を継ぐこととなった。
新国王の戴冠式は、年齢を考慮して改めて来年以降に行われる予定であり、当面は叔父であるベッドフォード公ジョンとグロスター公ハンフリーを中心とした摂政評議会が王国統治を担う。王宮関係者は「王国の安定とフランス領の維持が最優先課題だ」と語り、百年戦争継続への強い姿勢を示した。
一方、フランス国内ではヴァロワ家による反発が続き、王妃キャサリン・オブ・ヴァロワの実家とも微妙な関係が続く。トロワ条約に基づき、ヘンリー6世はイングランド王位とともにフランス王位の継承権も保持しているが、これに反対するシャルル王太子派との戦闘が激化する恐れがあると見られている。
ロンドン市民の間では、幼王への不安とともに、新しい時代への期待も交錯している。宮廷周辺では「偉大な父王の遺志を継ぎ、摂政たちが団結すれば必ず勝利を収められる」との声が聞かれる一方で、「権力闘争が激化し、王国が分裂しかねない」と懸念を示す声も少なくない。
イングランドは今、百年戦争の只中で新たな転機を迎えている。幼き王の下で、王国の行く末は摂政たちの采配にかかっている。
— RekisyNews ヨーロッパ面 【1422年】