ワシントン大行進、リンカーン像前に25万人 キング牧師が「I Have a Dream」

 【ワシントンD.C. 8月28日】

本日、雇用と自由を求めるワシントン大行進がリンカーン記念堂前で開催され、全米から集った黒人・白人の市民や労組、宗教者ら約25万人が平和裡に結集した。舞台に立ったキング牧師(南部キリスト教指導者会議=SCLC)は、「I Have a Dream(私には夢がある)」の反復で、人種の壁を越えて子どもたちが「肌の色ではなく人格の中味で」評価される未来を高らかに訴え、群衆は長い拍手と合唱で応えた。

行進はA・フィリップ・ランドルフ、ベイヤード・ラステイン両氏らの呼びかけで実現。雇用差別の撤廃、公正雇用の保障、最低賃金の引き上げ、公共施設と学校の完全な人種分離撤廃、投票権保護を主要な要求に掲げ、非暴力の規律が徹底された。警備は抑制的で、大きな混乱は報告されていない。

ホワイトハウスは指導者団との会談を調整中で、議会審議にある公民権法案への圧力は一段と強まる見込みだ。記念堂の段上から見渡す反射池の彼方まで、人波は静かに揺れ続けた。今日の言葉は、合衆国の約束を現実に近づける羅針盤となるのか――夏の首都に、鐘の余韻が長く残っている。

— RekisyNews 国際・社会面 【1963年】

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