【ワシントン 8月24日】
本日、北大西洋条約が各国での批准を経て発効し、北大西洋条約機構(NATO)が正式に発足した。加盟は米・英・仏・加をはじめ、ベネルクス三国、伊・葡、そしてノルウェー、デンマーク、アイスランドの計12か国。大西洋の両岸を結ぶ恒常的な安全保障枠組みが、戦後欧州で初めて動き出した。
条約の柱は、第5条に定める集団防衛である。いずれかの加盟国への武力攻撃を全体への攻撃と見なし、各国が「必要な措置」によって共同で対処する。武力行使を含む対応の柔軟性を残しつつ、抑止と迅速な協議を両立させる設計で、第4条の協議条項が意思決定の要となる。
機構は首脳と外相で構成する北大西洋理事会を最高機関とし、常設代表による協議の場を設ける。軍事委員会や標準化委員会の創設が検討され、共同演習の計画、装備・弾薬の規格統一、情報共有の手順づくりが急がれる。欧州諸軍の再建と海上航路防衛も主要任務だ。
背景には、ベルリン封鎖に象徴される緊張の高まりがある。西側は「拡張抑止と秩序維持」を強調する一方、反対派は軍拡と財政負担、緊張固定化を懸念。中立を志向する国ぐにの距離感も課題だ。とはいえ、復興と通商を支える安全の土台なくして、繁栄は望めないとの見方が主流となりつつある。
今後は指揮構造と司令部体制の整備、通信・補給網の相互運用性確保、加盟拡大の是非などが議題に上る見込みだ。大西洋を渡る協調の試みが、抑止の信頼と地域の安定をどこまで高め得るのか—新同盟の船出に世界の視線が集まっている。
— RekisyNews 国際・安全保障面 【1949年】