ヒトラー氏「指導者」に 国民投票で圧倒的多数の承認

 【ベルリン 8月19日】

本日行われた国民投票において、アドルフ・ヒトラー氏をドイツの「指導者(フューラー)」とする提案が承認され、同氏の権力が国民の名の下に確立された。投票結果は賛成が約9割に達し、圧倒的多数の支持を得た形となった。これにより、先ごろ死去したヒンデンブルク大統領の権限は首相職と統合され、ヒトラー氏が国家の最高権力を一手に掌握することとなる。

今回の国民投票は、政権が新体制の正統性を国民に示すために実施されたもので、全国の投票所には早朝から有権者が列をなし、各地で高い投票率を記録した。政府は即日開票を行い、89.93%が賛成を投じたと発表。国民の「圧倒的信任」を強調した。

ベルリン市内では結果発表後、街頭に大きな歓声が上がり、広場には旗を掲げた群衆が集まった。演説台に立った政府関係者は「新たな時代の始まりだ」と述べ、国民の結束を訴えた。市民の一人は「国の未来を一人の指導者に託すことができた」と興奮気味に語った。

しかし、国外からは警戒の声も強まっている。欧州諸国の報道機関は「民主的手続きを通じた権力集中」と報じつつも、軍事や外交で強硬策が進むのではないかとの懸念を示した。専門家の中には「国民の意思が示された一方で、反対意見の自由な表明がどこまで保障されたか疑問が残る」と指摘する声もある。

それでも、ヒトラー氏の権威が国民投票により裏付けられた事実は動かし難い。ドイツは今後、首相兼国家元首としての「指導者」に率いられ、新たな国家体制へと進んでいくことになる。

— RekisyNews 国際・政治面 【1934年】

アイキャッチ画像 Bundesarchiv, Bild 183-H1216-0500-002 / CC-BY-SA 3.0, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5363989による

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