【キングストン・アポン・テムズ 8月16日】
本日、今年5月に即位したエドレッド陛下の戴冠式が、テムズ川沿いのキングストン教会で盛大に執り行われた。諸侯や聖職者、各地の代表者が参列し、新たな治世の始まりを祝った。
式典は午前中、カンタベリー大司教の先導で開始。陛下は聖壇前で油を注がれる聖別の儀を受け、王冠と王笏(おうしゃく)を授けられた。続いて、王位継承の誓いとして「民を正しく治め、教会を守り、王国を外敵から防ぐ」と力強く宣言した。
参列者の中には、北部諸侯やウェセックス、マーシアの有力者らも姿を見せ、これまで反発や自立の動きを見せていた諸地域が、象徴的に新王の権威を認める形となった。戴冠後の祝宴では、吟遊詩人が歴代王の功績を讃える歌を披露し、会場は和やかな雰囲気に包まれた。
エドレッド陛下は、兄エドマンド前王の急逝を受けて王位を継承。体調面に不安を抱えながらも、即位以来、北方に勢力を持つ異民族勢力との均衡を図り、国内の安定に尽力している。特に戴冠後は、諸侯間の結束を強め、王国全域の一体化を推進する方針だという。
市井では、新王への期待と課題への懸念が交錯している。式典を見守った商人は「王国が一つにまとまり、交易が安全になることを望む」と語った。農民の一人は「収穫と平和が続けばよい」と素朴な願いを口にした。
華やかな戴冠式は、新王の治世における象徴的な第一歩となったが、その歩みは今後の政治と外交の試練に試されることになる。
— RekisyNews 国際・政治面 【946年】