【鹿児島 8月15日】
本日午前、インド・ゴアを経て渡来した宣教師フランシスコ・ザビエル一行が、鹿児島港に上陸した。ポルトガル人船長の案内で薩摩国に到着したザビエルは、キリスト教の教えを広めることを目的に来日したとみられ、地元の有力者らと面会した。
ザビエルはスペイン出身で、かつてインドやマラッカ、モルッカ諸島で布教活動を行った経験を持つ。今回の来日は、日本人ヤジロウ(弥次郎)の案内によって実現したとされる。港に降り立ったザビエルは黒い法衣をまとい、仲間の神父コスメ・デ・トーレスや修道士とともに十字架や聖書を携えていた。
上陸後、一行は薩摩の領主・島津貴久に謁見。領主は異国の来訪者に強い関心を示し、滞在と布教を許可したという。謁見に同席した家臣は「彼らは我らの言葉を学ぼうとしており、礼儀正しく落ち着いた振る舞いであった」と語る。
市中では、港に現れた異国人の姿に町人や子どもたちが集まり、珍しい衣服や持ち物を興味深そうに眺めた。ザビエルは身振り手振りを交えて「唯一の神」と「愛と慈悲」の教えを説き、通訳を介して聴衆と交流した。
今回の上陸は、日本で初めて本格的なキリスト教布教が行われる契機となる見通しで、今後は鹿児島を拠点に活動が広がる可能性がある。一方で、異国の宗教がどのように受け入れられるかは未知数であり、反発や警戒も予想される。
薩摩の港に降り立った小さな一行が、日本の宗教と文化にどのような影響を及ぼすのか、注目が集まっている。
— RekisyNews 社会・文化面 【1549年】