ケルン大聖堂、ついに完成 着工から六世紀越しの偉業

 【ケルン 8月14日】

ライン川沿いにそびえるケルン大聖堂が本日、着工からおよそ六百年以上を経てついに完成し、盛大な式典が行われた。国内外から王侯、聖職者、市民が集まり、鐘の音と祝砲が響く中でこの壮麗なゴシック建築の全貌がお披露目された。

大聖堂の建設は13世紀半ば、聖遺物「三博士の聖柩」を安置するために始まった。しかし資金難や戦乱により工事は中断と再開を繰り返し、長らく未完のまま市の象徴として立ち続けてきた。19世紀に入り、ドイツ統一の機運の中で完成を目指す運動が高まり、国王ヴィルヘルム1世の後援のもと工事が本格的に再開された。

完成した大聖堂は高さ約157メートルの双塔を誇り、内部には精緻なステンドグラスや尖塔装飾が並ぶ。主祭壇や聖柩の輝きは訪れる者を圧倒し、光が差し込むたびに堂内は神秘的な色彩に包まれる。設計は中世の原図を忠実に踏襲しつつ、近代の技術を用いて耐久性を高めた。

式典では大司教が感謝の祈りを捧げ、「この聖堂は信仰と市民の結束の証」と述べた。参列した市民は「祖父も父も完成を見ることなく亡くなった。きょうその夢が叶った」と目を潤ませた。

ケルン大聖堂は今後、礼拝の場としてだけでなく、芸術・観光の中心として国内外から多くの人々を引き寄せるだろう。六世紀に及ぶ歳月が結実したこの偉業は、ドイツ建築史に燦然と輝くこととなった。

— RekisyNews 文化部 【1880年】

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