東独政府、ベルリンの通行遮断 東西間の全道路を封鎖

 【ベルリン 8月13日】

東ドイツ政府は本日未明、東西ベルリンを結ぶ全ての道路・鉄道・運河を突如封鎖し、市民や物資の往来を全面的に停止した。封鎖は軍・警察部隊によって実施され、有刺鉄線や路障が主要交差点に設置されるなど、市内は一気に緊張状態に包まれた。

政府声明によれば、「帝国主義勢力からの浸透を防ぎ、東独市民の安全を守るため」としているが、実際には西側への人口流出を食い止める狙いがあるとみられる。これまで東独から西ベルリンへは年間数十万人が移動しており、特に若年層や技術者の流出が深刻化していた。

封鎖措置は午前0時過ぎから開始され、人民警察と国家人民軍が協力して主要道路に障害物を設置した。市境の検問所は閉鎖され、列車は東西間の運行を停止した。市民の一部は事前に情報を得て西側へ急いだが、多くは夜明けとともに道路が塞がれたことを知り、呆然と立ち尽くした。

西ベルリン市当局は「人道上の重大な障害」として強く抗議し、連合国駐留軍も状況を注視している。西側メディアは、市境沿いに展開された兵士や装甲車の映像を一斉に放送し、国際社会に向けて緊張の高まりを訴えた。

封鎖は市民生活に即座に影響を及ぼしており、東西間で通勤・通学していた人々や家族が引き裂かれる事態となっている。現地の住民は「きのうまで自由に行き来できた道が、一晩で壁のように閉ざされた」と語り、街には重苦しい空気が漂っている。

— RekisyNews 国際面 【1961年】

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