ハワイ、合衆国の領土に編入 太平洋の新たな拠点誕生

 【ホノルル 8月12日】

中太平洋の群島国家ハワイが本日、合衆国の領土として正式に編入された。ホノルルの王宮跡で調印式が行われ、現地政府の代表と合衆国特使が協定文書に署名。午後には国旗が降ろされ、星条旗が掲揚された。これにより群島は新たに「ハワイ準州」として合衆国の行政下に置かれることとなる。

編入協定は、港湾施設の共同利用、郵便・通信の一体化、通商関税の撤廃などを含み、軍港としての真珠湾の改修計画も盛り込まれている。合衆国側は「太平洋航路の安全確保と貿易拡大に資する」として、極東や南洋との結節点としての戦略的価値を強調した。

現地では複雑な反応が広がる。砂糖農園の経営者や貿易商の一部は関税撤廃を歓迎し、「市場の拡大で産業が活気づく」と期待する。一方で、先住ハワイ人の有力者からは「固有の政治と文化が失われる」との懸念も聞かれた。調印式に立ち会った住民の中には涙を流す姿もあり、街頭では静かな抗議集会が開かれた。

ホノルル市内では行政機構の移行作業が始まり、通貨や度量衡の統一、学校制度の改編が順次行われる予定。軍関係者は真珠湾の拡張工事に先立ち測量を開始し、数年以内に太平洋最大級の軍港を整備する計画だ。

今回の編入で、合衆国は太平洋中央に確固たる足場を得た形となり、列強諸国との海上競争にも影響を及ぼす見込みである。

— RekisyNews 国際面 【1891年】

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