グリニッジ丘陵で王立天文台の建設始まる 航海の“星の家”、王命で創設

【ロンドン・グリニッジ 8月10日】
王都南東のグリニッジ公園で本日、国王の勅命により王立天文台の建設が始まった。設計は王室建築家クリストファー・レン、測量と施工指揮にはロバート・フックが当たり、丘陵の旧砦跡を転用して「天文官の館(フラムスティード・ハウス)」がまず立ち上がる。初代天文官ジョン・フラムスティードは「星の運行表を改訂し、航海の羅針を確かなものにする」と抱負を語った。

海軍・商船筋は今回の着工を歓迎している。外洋航路の拡大で経度の誤差がしばしば命取りとなる中、恒常的な観測拠点を首都近郊に置くことで、星表と暦、潮汐表の精度向上が一気に進む見通しだ。造船所関係者は「天測と新式海図がそろえば、航程計画の安全余裕が増す」と期待を口にする。

現場では基礎石の据え付けが進み、年内にも仮設の観測機材で試験観測を開始する計画。四分儀・象限儀・天体時計などの機器調達を並行し、王国標準の星時を定める。王立学会とも連携し、観測記録の公開と学術交流の枠組みを整える方針だ。

王宮前では祝砲が鳴り、見物の市民からは「星で海を渡る時代が本格的に来る」との声。王都の港湾関係者は「外洋での遭難と保険料を押し下げる“投資”だ」とし、国家事業としての意義を強調した。

— RekisyNews 科学面【1675年】

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