無人探査機「かいこう」、世界最深部へ到達 ―― マリアナ海溝1万911メートルを記録

【横須賀 3月24日】

海洋科学技術センター(JAMSTEC)は本日、無人深海探査機「かいこう」が、グアム島沖のマリアナ海溝チャレンジャー海淵において、世界最深部への潜航に成功したと発表した。記録された水深は1万911メートル。1960年に米国の有人潜水艇「トリエステ」が到達して以来、実に35年ぶりに人類の探査機が地球で最も深い海底に降り立ったことになる。

「かいこう」は、母船「かいよう」から吊り下げるランチャー(発進母機)と、そこから切り離されて自走するビークル(子機)の二段構成となっている。本日午前、荒天を突いて潜航を開始した「かいこう」は、凄まじい水圧に耐えながら約4時間半をかけて降下。光の届かない暗黒の世界で、ついにマリアナ海溝の底を捉えた。搭載された高感度カメラは、水深1万メートルを超える極限環境においても生命が存在する証拠として、海底を這う小さな生物の姿を鮮明に映し出した。

この海域は、指先一点に軽自動車1台分が乗るほどの1000気圧を超える超高圧の世界であり、機体の設計には日本の最先端技術が結集されている。特に、母船からビークルへ信号を送る光ファイバーケーブルは、自重による断線を防ぎつつ高い信号伝達能力を維持する特注品だ。今回の成功により、これまで厚いベールに包まれていた地球最後のフロンティアである超深海の地質や生物相の解明が飛躍的に進むことが期待される。

プロジェクトチームのリーダーは会見で、「今回の到達は、日本の深海探査技術が世界最高水準にあることを証明した。未知の深海資源の調査や、地震メカニズムの解明に向けた大きな一歩となるだろう」と誇らしげに語った。宇宙開発に比肩する難事業とされる深海探査において、日本が打ち立てたこの金字塔は、世界の科学界に大きな衝撃を与えている。

— RekisyNews 科学面 【1995年】

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