宇宙ステーション「ミール」大気圏突入、15年の歴史に幕

【モスクワ 3月23日】

ロシアが誇る世界初の恒久的な有人宇宙ステーション「ミール」が本日、制御された状態で地球の大気圏に再突入し、その輝かしい歴史に幕を閉じた。ロシア宇宙管制センターからの最終指令を受け、軌道を離脱したミールは、日本時間の午後2時59分頃、フィジー諸島近海の上空でまばゆい光を放つ火の玉となって燃え上がり、残骸は安全が確認されていた南太平洋の「宇宙機の墓場」へと着水した。

1986年に旧ソ連によって打ち上げられたミールは、当初の設計寿命5年を大幅に超え、15年間にわたり宇宙空間での科学実験や長期滞在の拠点として運用されてきた。冷戦末期のソ連の技術力の象徴として誕生しながらも、崩壊後のロシアにおいては、米スペースシャトル「アトランティス」とのドッキングを果たすなど、かつての敵対国同士が宇宙で手を取り合う「国際協力の象徴」へと劇的な変貌を遂げた。通算で12カ国、100人以上の宇宙飛行士が滞在し、人類が宇宙で長期間生存するための貴重な医学・科学データを蓄積し続けた功績は計り知れない。

老朽化による度重なる故障や火災、船外活動中の衝突事故など、数々の困難に直面しながらも、ミールは今日まで宇宙開発の最前線を走り続けてきた。その役割は現在建設が進む「国際宇宙ステーション(ISS)」へと引き継がれるが、一国が長年維持し続けた最大級の有人施設が消滅したことに対し、世界中の科学者や宇宙ファンから深い惜別と敬意の声が上がっている。ロシア宇宙当局は「ミールはISSという次世代の成功の中に生き続ける」と述べ、一つの時代の終焉とともに、新たな宇宙開発の幕開けを告げた。

— RekisyNews 科学面 【2001年】

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