ジェミニ3号、打ち上げ成功 ―― 米初の2人乗り宇宙船。軌道変更に成功し「月への道」切り拓く

【ケープケネディ 3月23日】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は本日、有人宇宙船「ジェミニ3号」をケープケネディ発射場からタイタンIIロケットによって打ち上げ、予定の軌道への投入に成功した。マーキュリー計画に続く「ジェミニ計画」初の有人飛行となる今回は、アメリカにとって史上初の2人乗り宇宙船によるミッションであり、米ソ宇宙開発競争における新たな段階への突入を世界に印象付けた。

搭乗員は、ベテランのバージル・グリソム船長と、新人のジョン・ヤング飛行士の2名。今回の飛行の最大の眼目は、宇宙空間における宇宙船の軌道変更能力のテストであった。これまでの単座船とは異なり、ジェミニ3号は操縦士の操作によって軌道の高度や傾斜角を自在に変更できる革新的な推進システムを搭載。「宇宙船を手足のように操る」という高度な技術実証に成功したことは、将来の月着陸に不可欠なランデブーやドッキング技術の確立に向けた、極めて大きな一歩となった。

飛行中、ヤング飛行士が密かに持ち込んだコンビーフ・サンドイッチをグリソム船長に手渡すというユーモア溢れる一幕(後にパン屑が精密機器に影響するとして議会で問題視されたが)もあった。ジェミニ3号は地球を3周した後、大西洋上に無事着水。「モリー・ブラウン(沈まない女)」と名付けられたカプセルから回収された2人は、健康状態も良好である。今回の成功により、NASAは年内にも予定されている宇宙遊泳など、より野心的な次段階のミッションへ向けて大きな自信を深めている。

— RekisyNews 科学面 【1965年】

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