【カイロ 3月18日】
エジプト考古学局は本日、ギザの大ピラミッド(クフ王のピラミッド)近郊の墳墓から、約4,400年前のものと推定される非常に保存状態の良いミイラを発見したと発表した。紀元前2400年頃のエジプト古王国時代、第4王朝から第5王朝時代に生きていた高貴な身分の女性とみられ、当時の埋葬文化や生活様式を解き明かす極めて重要な発見として、世界中の研究者から熱い注目を浴びている。
発見されたミイラは、石灰岩の石棺の中に納められており、乾燥した砂漠の気候が幸いして、皮膚や頭髪の一部が驚くほど鮮明に残されている。遺体は当時最新の防腐処理が施されていた形跡があり、周囲からは美しい装飾が施された土器や装身具も出土した。考古学局の担当者は、「この女性は王室に近い地位にあった可能性が高い。4,000年以上の時を超えてこれほどの状態で姿を現すのは奇跡に近い」と興奮気味に語った。
クフ王のピラミッド周辺では今なお多くの発掘調査が続けられているが、今回の発見は古王国時代の社会構造や宗教観を再考する大きな手がかりとなる。また、ミイラの科学的な分析により、当時の食生活や罹患していた病気、さらには当時の平均寿命など、古代人の「生」の実像に迫ることも期待されている。
ナイルの河畔にそびえる巨大な石の建造物は、依然として多くの謎を秘めている。この「4,400年前の貴婦人」の目覚めは、人類文明の揺籃期である古代エジプトが、いかに高度で洗練された文化を築いていたかを改めて世界に知らしめることになった。砂の下に眠る歴史の断片は、今また現代に新たな知識の光をもたらそうとしている。
— RekisyNews 文化面 【1989年】
