【パリ 3月18日】
フランス国王フィリップ4世の命により捕らえられていたテンプル騎士団の最後総長、ジャック・ド・モレーが本日、パリのシテ島にて火あぶりの刑(焚刑)に処せられた。かつて十字軍遠征の主役としてキリスト教世界最強の騎士修道会を率いた男の最期は、宗教裁判による「異端」の烙印と共に、あまりに凄惨な形で幕を閉じた。
事件の発端は1307年、膨大な負債を抱えたフィリップ4世が騎士団の財産没収を画策し、団員を一斉に検挙したことに始まる。彼らには「悪魔崇拝」や「不道徳な行為」といった数々の捏造に近い罪状が着せられ、苛烈な拷問によって自白が強要された。教皇クレメンス5世も王の圧力に屈し、騎士団の解散を決定。ド・モレー総長も一時は罪を認めていたが、本日行われた最終公判において突如として自白を撤回。「騎士団は潔白であり、不当な訴追である」と叫び、自身の無実を主張したため、異端の再犯者として直ちに死刑が執行された。
燃え盛る炎の中で、ド・モレーはフィリップ4世と教皇に対し、「一年以内に神の法廷に呼び出す」という呪いの言葉を残したという。この光景を見守った群衆の間には、かつての聖地守護者が辿ったあまりに非情な運命への恐怖と困惑が広がっている。
富と権力を一身に集めたテンプル騎士団の滅亡は、中世を支配した騎士道の終焉と、王権が宗教権力を圧倒する新たな時代の到来を象徴している。パリの空を焦がした煙は、200年近く続いた偉大なる騎士団の歴史が完全に灰に帰したことを物語っていた。没収された莫大な財産は王室の金庫を潤すが、この一件がフランス王権に刻んだ道徳的な傷痕は、後世まで語り継がれることになるだろう。
— RekisyNews 社会面 【1314年】
