【パリ 3月17日】
フランス・パリのベルネーム・ジューヌ画廊にて本日、オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホの回顧展が開幕した。1890年に自ら命を絶ってから11年。生前には一枚の絵しか売れなかったと言われる孤独な画家が残した60点以上の油彩画が、今、パリの芸術界を大きく揺るがそうとしている。会場には、うねるような筆致と、現実を超越したかのような鮮烈な色彩が溢れ、訪れた観客や美術関係者らを圧倒している。
特に、若手の画家たちが受けた衝撃は計り知れない。後に「野獣派(フォーヴィスム)」と呼ばれることになるアンリ・マティス、アンドレ・ドラン、モーリス・ド・ヴラマンクらは、この会場でゴッホの剥き出しの情熱に触れ、既存のアカデミズムや印象派の枠を超えた「表現の自由」を見出している。ある若手画家は、「ゴッホこそが真の革命家だ」と感極まった様子で語った。
展示されている作品には、アルル時代の眩いひまわりや、精神の苦闘が刻み込まれたかのような晩年の風景画が含まれている。生前、彼の芸術を「狂気」として退けていた世評は、今や「天才の幻視」へと変わりつつある。主催した画廊側は、この展覧会が単なる回顧展に留まらず、20世紀美術の新たな方向性を決定づける重大な転換点になるとの認識を示している。
かつて誰にも理解されなかったゴッホの魂の叫びは、死後10余年を経てようやく、時代が追いつく形で正当な評価を得ようとしている。この展覧会の反響はフランス全土、そして欧州各地へと広がり、彼が愛した「光」は、これからの芸術界を照らす不滅の炎として記憶されるに違いない。
— RekisyNews 文化面 【1901年】
