「渡辺銀行が倒産」と発言、蔵相失言で議場騒然 

【東京 3月14日】

本日午後、衆議院予算総会の席上、片岡直温大蔵大臣から飛び出した衝撃的な一言が、金融界に激震を走らせている。震災手形処理法案を巡る審議の最中、片岡蔵相は「東京渡辺銀行が本日正午にとうとう倒産いたしました」と明言。政府閣僚が特定の民間銀行の破綻を公式の場で宣告するという異例の事態に、議場は一時騒然となった。

しかし、本紙の取材によれば、片岡蔵相の発言の時点で東京渡辺銀行はまだ営業を継続しており、役員が懸命に決済資金の融通に駆け回っていたことが判明した。蔵相の手元に届けられた不完全な情報が、確認されないまま「倒産」として発表された疑いが強い。

問題は、この失言がもたらす波及効果である。すでに夕刻から東京周辺の各銀行には不安を抱いた預金者が集まり始めており、明日以降、大規模な取り付け騒ぎに発展する恐れがある。震災以来、不透明な経営が続いていた金融界において、政府への不信感が爆発すれば、経済全体が立ち行かなくなる「恐慌」の再来も否定できない。

野党側は「蔵相の不用意な発言が、健全な銀行をも死に追いやるものだ」と厳しく追及しているが、放たれた言葉を回収することは不可能である。明日15日の銀行窓口が開くとき、日本はかつてない経済的混乱の朝を迎えることになるかもしれない。

— RekisyNews 経済面 【1927年】

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