【東京 3月14日】
本日、明治新政府は日本人と外国人の婚姻を認める「内外人婚姻事務取扱条規」を公布した。これにより、これまで法的に認められてこなかった異国人との公的な結婚が、所定の手続きを経て正式に許可されることとなった。開国以来、急速に進む文明開化の波が、ついに個人の家庭生活という最も私的な領域にまで到達した。
布告された条規によれば、国際結婚を希望する者は、あらかじめ政府への願い出が必要となる。注目すべきは、婚姻に伴う身分関係の取り扱いである。日本女性が外国人と結婚し、夫の国へ赴く場合は日本国籍を離れることとなるが、外国女性が日本男性と結婚して日本に留まる場合は、日本の戸籍に編入されることが明文化された。
背景には、現在交渉が進められている不平等条約の改正に向け、諸外国に対して日本が「万国公法」に則った法治国家であることを示す狙いがある。政府としては、外国人との通婚を認めることで、欧米の知識や習慣をより深く取り入れ、国家の近代化を加速させたい考えだ。
市中では、かつて「唐人お吉」の悲劇に象徴されたような外国人への偏見が根強く残る一方で、進歩的な士族や商人の間では、この新法を歓迎する声も上がっている。しかし、宗教的儀礼の差異や、治外法権下にある外国人との法的トラブルを懸念する声もあり、実際の運用においては多くの課題が予想される。
海を越えた愛が、法によって裏付けられた本日。日本は「鎖国の残影」をまた一つ振り払い、世界の列強と肩を並べるための、新たな一歩を踏み出した。
— RekisyNews 社会面 【1873年】
