【ジョージア州/フィラデルフィア 3月14日】
本日、発明家イーライ・ホイットニー氏は、綿花から種子を効率的に分離する新装置「コットン・ジン(綿繰り機)」の特許を正式に取得した。この発明は、これまで膨大な人手と時間を要していた綿花の精製工程を根本から変え、南部農業に未曾有の繁栄をもたらすものと期待されている。
ホイットニー氏が開発したこの装置は、回転する円筒に取り付けられた針状のフックが綿の繊維を狭いスリットから引き剥がし、種子だけを後ろに残すという独創的な仕組みである。手作業では1ポンドの綿を精製するのに1日を要していたが、この機械を使用すれば、わずか1日で50ポンド以上を処理することが可能となる。
現在、アメリカ南部では短繊維綿(アップランド綿)の栽培が広がっているが、種子が繊維に強く付着しているため、精製コストが大きな壁となっていた。ホイットニー氏の「綿繰り機」はこの問題を一挙に解決し、綿花をタバコや藍に代わる「南部の王」へと押し上げるだろう。
しかし、この技術革新は別の波紋も呼んでいる。綿花の栽培が急拡大することで、労働力としての奴隷需要が再び高まるのではないかとの懸念も一部で囁かれている。また、簡素な構造ゆえに模造品が容易に作れることから、ホイットニー氏が特許権を守り抜き、正当な報酬を得られるかどうかも焦点となっている。
産業革命に沸く英国の繊維工場が安価な原料を渇望する中、この小さな機械が世界の経済地図を塗り替えようとしている。
— RekisyNews 経済面 【1794年】
