【クラクフ 3月14日】
昨日から本日付にかけて、ナチス当局によるクラクフ・ゲットーの最終的な「清算」が行われ、占領下ポーランドにおける主要なユダヤ人居住区の一つが完全に消滅した。親衛隊(SS)による迅速かつ過酷な移送作戦により、数千人の住民が住み慣れた家を追われ、収容所へと連行された。
作戦を指揮したアモン・ゲートSS少尉の部隊は、昨朝よりポドゥグジェ地区のゲットーを包囲。労働能力があると判定された健康な男女約8,000人は、近隣のプワシュフ強制収容所まで徒歩で連行された。一方、高齢者や子供、病弱な者、および移送を拒んだ人々に対しては容赦のない武力行使が行われ、街の路上には無数の遺体が放置されている。
目撃者の証言によれば、ゲットー内のアプテカ・ポド・オールエム(鷲の薬局)周辺でも激しい銃声が響き、多くの命が失われたという。本日午後までに、移送対象外とされた約2,000名がアウシュヴィッツ=ビルケナウの絶滅収容所へ向かう貨車に詰め込まれたとの報告もあり、住民の生存は絶望視されている。
かつてクラクフの文化を支えたユダヤ人コミュニティは、この二日間の惨劇を経て物理的に抹消された。空になったゲットーの路地には、持ち主を失った家具や衣類が散乱しており、当局は残された財産の組織的な回収を開始している。戦争という狂気がもたらしたこの「無の空間」は、欧州における人道危機の深淵を物語っている。
— RekisyNews 社会面 【1943年】
