【長野 3月10日】
本日、信州・霧ヶ峰の緩やかな斜面において、わが国初となる国産ハンググライダー「頓所式1型」が、見事な初飛行を披露した。設計・製作および操縦を自ら手がけたのは、気鋭の飛行家・頓所好勝氏である。
「頓所式1型」は、翼幅9メートルにおよぶ流麗な逆ガル翼を備えた木製羽布張りの機体である。特筆すべきはその独自の搭乗方式だ。操縦者は機体中央の風防内に上半身を収め、下半身を外に投げ出した状態で斜面を駆け下りる。浮遊した瞬間に足を機内へ引き込むと、底部のフタが自動的に閉まるという、氏の細やかな工夫が凝らされている。
本日の飛行テストでは、ゴム索による発航によって機体はふわりと宙に浮き、安定した滑空を見せた。自重わずか25kgという驚異的な軽量化を実現するために、主翼の接合部を除いて釘を一本も使わず、膠(にかわ)による接着を多用したという。
現在、世界的に滑空機(グライダー)の研究が進む中、日本独自の設計によるハンググライダーの成功は、航空関係者に大きな衝撃を与えている。頓所氏は「誰でも鳥のように空を飛べる時代を」との夢を語っており、本日の初飛行は、日本のスカイスポーツの歴史において不朽の金字塔となるだろう。
— RekisyNews 科学面 【1937年】
