【東京 3月10日】
本日、上野公園において、第一次世界大戦後の平和を祝い、わが国の産業発展を誇示する「平和記念東京博覧会」が華々しく幕を開けた。早朝から詰めかけた群衆の目当ては、不忍池の空にそびえ立つ白亜の「平和塔」と、生活の革命を予感させる「文化村」の展示である。
特に注目を集めているのは、不忍池東岸に特設された「文化村」だ。ここには、最新の建築技術と西洋の生活様式を取り入れた「文化住宅」が立ち並んでいる。従来の日本家屋に洋風の応接間やピアノを備えた居間、機能的な台所を組み合わせたこれらの住宅は、これからの「中流家庭」が目指すべき新しい暮らしの形として、訪れた市民たちの羨望の的となっている。
また、会場内には日本初となる上野公園と不忍池を結ぶ空中ケーブル(索道)や、池を渡るウォーターシュートなどの娯楽施設も充実。夜間には数万個の電球によるイルミネーションが会場を彩り、不夜城の如き景観を現出させている。
主催の東京府は、会期中に1,000万人以上の来場を見込んでいる。科学、産業、そして生活。あらゆる分野で「文化」の二文字が躍る今博覧会は、戦後の復興を遂げた日本が、いよいよモダンな大正社会へと踏み出す力強い宣言となるだろう。
— RekisyNews 社会面 【1922年】
