法廷メモ「原則自由」 ── 最高裁、司法の「密室性」にメス

【東京 3月8日】

本日、最高裁判所大法廷(矢口洪一裁判長)は、法廷内での傍聴人によるメモ採取を制限してきたこれまでの慣行に対し、歴史的な判断を下した。最高裁は、傍聴人がメモを取る行為を「知る権利」の一環として尊重すべきとし、「特段の事情がない限り、傍聴人のメモ採取は自由である」との初判断を示した。

この訴訟は、米国の弁護士ローレンス・レペータ氏が、所得税法違反事件の傍聴中にメモを取ることを禁じられたのは憲法21条(表現の自由、知る権利)に反するとして、国に損害賠償を求めていたものだ。判決では、メモ採取そのものを「憲法上の権利」とまでは認めず、国への賠償請求も退けたものの、裁判長は「メモを取ることは傍聴人の理解を助けるものであり、公正な裁判の維持に支障がない限り、尊重されるべきである」と判示した。

わが国の法廷では、長年にわたり「許可なきメモ」は厳禁とされ、違反者は退廷を命じられるなど、司法の場における独特の「閉鎖性」の象徴となってきた。しかし、本日の判決は「開かれた司法」を求める時代の要請に応えた形となり、これまで認められていなかった一般傍聴人や報道関係者以外のメモ採取が、今後は全国の法廷で認められる見通しとなった。

法廷内の静寂の中で、今日からペンを走らせる音が響き始める。この一歩は、国民と司法の距離を縮め、民主主義の根幹である「裁判の公開」を名実ともに実現させる大きな契機となるだろう。

— RekisyNews 社会面 【1989年】

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