【大坂 3月8日】
本日午後、堺港において警備にあたっていた土佐藩士と、フランス軍艦デュプレクス号から上陸した水兵との間に武力衝突が発生した。この「堺事件」により、フランス側に多数の死傷者が出た模様であり、王政復古を宣言したばかりの新政府にとって、国際的な外交問題に発展する懸念が急速に高まっている。
事件の端緒は、フランス水兵たちが許可なく堺の市街へ立ち入り、住民に対して狼藉を働いたことにあるとされる。これを制止しようとした土佐藩の警備隊長・箕浦元章氏らに対し、水兵たちが土佐藩の隊旗を奪って逃走。これに激昂した藩士たちが発砲し、銃撃戦へと発展した。フランス側は10余名の死者を出し、生き残った水兵たちは軍艦へと退却した。
現在、堺の街は厳戒態勢にあり、フランス軍艦は港外で戦闘準備を整えているとの情報もある。大坂に滞在中の各国公使らは一斉に抗議の声を上げており、フランス側は新政府に対し、責任者の処刑や賠償金を含む極めて厳しい要求を突きつける構えだ。
新政府は発足早々、攘夷の気風が残る諸藩の制御と、万国公法に基づく国際秩序の維持という、極めて困難な舵取りを迫られている。土佐藩側は「正当な防衛」を主張しているが、フランス側の怒りは凄まじく、事態の収拾にはさらなる苦難が予想される。
— RekisyNews 社会面 【1868年】
