帝都震撼、寺島町にバラバラ死体 ── 「お歯黒どぶ」に惨状

【東京 3月7日】

本日午前、向島区寺島町の俗称「玉の井」付近を流れる、通称「お歯黒どぶ」において、見るも無惨な男性の切断遺体が発見された。遺体は頭部、胴体、手足が鋭利な刃物によって切り離されており、変わり果てた姿で泥水の中に沈んでいた。この猟奇的な犯行手口に、周辺住民のみならず帝都全域が深い戦慄に包まれている。

遺体を発見したのは、早朝の清掃作業にあたっていた近隣住民だ。通報を受けた向島署が現場を封鎖し、泥中から次々と身体の断片を回収した。警察の検視によれば、被害者は30歳から40歳前後の男性と見られ、死後数日が経過している模様だ。あまりに凄惨なその状態を、現場に駆けつけた記者の一人は「首と手足がバラバラだ」と表現し、その言葉の響きが事件の異常性を物語っている。

現場となった玉の井界隈は、多くの迷路のような路地が入り組む私娼街として知られ、夜の帳に紛れて何者かが遺体を遺棄したと見られている。警視庁は直ちに捜査本部を設置。怨恨による犯行の線が強いとみて、付近の住人や行方不明者の洗い出しを急いでいる。

これまでにも凄惨な殺人はあったが、遺体をここまで細かく切断し、遺棄するという「非人間的」な手口は前代未聞である。新聞各紙はこの驚愕の事実を伝えるべく、「バラバラ殺人」という刺激的な言葉を掲げて報じ始めており、この新しい猟奇犯罪の代名詞は、一躍世間の注目を集めることになりそうだ。

犯人の足取りは依然として不明。迷宮のような街に消えた凶行の主を追い、当局の懸命な捜査が続いている。

— RekisyNews 社会面 【1932年】

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