【兵庫 3月6日】
本日、淡路島の兵庫県津名郡津名町にて、竹下内閣が提唱する「ふるさと創生事業」の交付金1億円を活用した「純金塊」の一般公開が始まった。町役場内に特設された展示ケースに鎮座する、鈍い光を放つ巨大な金の塊を一目見ようと、島内外から多くの観光客や住民が詰めかけ、長蛇の列を作っている。
公開された金塊は重量約62.7キログラム。昨今の金相場に基づき、交付された1億円をそのまま現物の金に換えたものである。町は、この金塊を単なる資産として保有するだけでなく、淡路島の新たな観光の目玉として活用する方針を打ち出した。展示会場では、厳重な警備体制が敷かれる中、観客が実際に金塊に触れることができる「体験型」の演出も検討されており、来場者はその圧倒的な重量感と時価1億円という輝きに息を呑んでいる。
政府が全国3300余りの市区町村に一律1億円を配るこの事業については、各自治体で使い道が議論されてきた。ユニークなアイデアが相次ぐ中、津名町の「1億円をそのまま金塊にする」という決断は、その象徴的かつ大胆な手法から全国的な注目を集めている。一部には「成金趣味」との批判的な声もあるが、町当局は「話題性こそが地方振興の鍵。この金塊が将来、町に1億円以上の経済効果をもたらすと確信している」と自信を覗かせる。
バブル経済の熱気が冷めやらぬ中、地方が知恵を絞って「自立」を模索するこの事業。津名町の金塊は、まさに「ふるさと創生」が目指す地方の活気と、この時代の高揚感を象徴する金字塔として、春の淡路島に燦然と輝いている。
— RekisyNews 社会面 【1989年】
