冷戦下の「原子爆弾スパイ」公判開始 ── ローゼンバーグ夫妻、法廷へ

【ニューヨーク 3月6日】

本日、ニューヨーク連邦地方裁判所において、ソビエト連邦への原爆機密漏洩(ろうえい)の罪に問われたジュリアス・ローゼンバーグと、その妻エセルの裁判が開始された。第二次世界大戦終結後、自由主義陣営と共産主義陣営の対立がいわゆる「冷戦」として激化し、国内で赤狩りの嵐が吹き荒れる中、全米の注目がこの法廷に注がれている。

検察側は、ジュリアスが共産主義者のネットワークを通じて、ロスアラモス国立研究所で原子爆弾の開発に従事していた義弟、デビッド・グリーングラスから極秘情報を入手し、ソ連側に提供したと主張している。アーヴィング・セイポル検事らは、夫妻の行為がソ連の核武装を早め、合衆国の安全保障を致命的に脅かしたとして、厳罰を求める方針だ。

これに対し、被告側は一貫して無実を主張。この裁判が、マッカーシー上院議員らによる過激な反共主義が生み出した「魔女狩り」であり、十分な証拠がないまま特定の政治思想を持つ夫妻をスケープゴートにしようとしていると強く反論している。特に、エセルについては関与を示す具体的な証拠が乏しく、夫への圧力をかけるための人質ではないかという声も支援者から上がっている。

法廷の外では、夫妻を「平和の闘士」と呼び釈放を求めるグループと、「国を売った裏切り者」と糾弾する群衆が激しく対立。核の恐怖が現実味を帯びる今日、この裁判の結果は単なる刑事事件の枠を超え、国家の正義と個人の思想の自由を巡る、戦後アメリカ最大の試金石となろうとしている。

— RekisyNews 海外面 【1951年】

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