【東京 3月6日】
本日、海軍省は昨年十二月八日の真珠湾攻撃において、特殊潜航艇「甲標的」に乗り込み、決死の突入を敢行して戦死した勇士9名を「軍神」として顕彰すると発表した。9名の英霊は、連合艦隊の精鋭としてハワイ真珠湾の奥深くへ潜入し、大戦果を挙げるとともに自らは壮烈なる最期を遂げたとされている。
顕彰されたのは、横山薫範少佐(戦死後二階級特進、以下同)をはじめ、古野繁実少佐、佐々木直吉大尉、岩佐直治中佐ら計9名。彼らは2人乗り潜航艇五隻に分乗し、母艦より発進。敵艦隊がひしめく湾内へ肉薄し、米戦艦への魚雷攻撃を成功させたと大本営は発表している。発表によれば、9名は「一死もって大義に殉じ、尽忠報国の至誠を体現した」として、国民の亀鑑(手本)となるべき存在とされた。
この栄誉を称え、ラジオ放送や号外では9名の生前の功績が繰り返し報じられている。海軍省は彼らの遺影を公開し、その忠誠心と不屈の闘志を強調。これにより、開戦から3ヶ月が経過した国内では、さらなる戦意高揚の気運が最高潮に達している。全国の家庭や学校では、九軍神の物語が語り継がれ、祖国の勝利を信じて疑わない国民の結束は一段と強まりを見せている。
しかし、この発表には10名の乗組員のうち、1名が含まれていない。捕虜となった者の存在は秘匿され、9名の「神格化」のみが強調される形となった。この劇的な顕彰は、第二次世界大戦という未曾有の国難に立ち向かう臣民に対し、犠牲を厭わぬ献身的な精神を強く促すものとなった。9人の勇士たちが捧げた命の重みは、今や帝国の威信を懸けた戦いの象徴となっている。
— RekisyNews 社会面 【1942年】
