【東京 3月2日】
第二次世界大戦末期の混乱により、旧満州(現中国東北部)で肉親と離ればなれになった中国残留日本人孤児の第1次訪日身元調査団47名が、本日午前、成田空港に到着した。厚生省(現厚生労働省)の招きによる正式な身元調査としての来日は今回が初めてであり、羽田・成田の両空港は、肉親との再会を待ちわびる家族や報道陣の熱気に包まれた。
今回来日した孤児たちは、平均年齢40代。1945年のソ連参戦と日本の敗戦に伴う混乱の中、幼くして親と死別、あるいは生き別れ、中国人の養父母に育てられた人々だ。1972年の日中国交正常化を経て、ようやく国家間の枠組みによる本格的な身元調査が実現した。
本日から14日間にわたり、代々木のオリンピック記念青少年総合センターを拠点に面接調査が行われる。わずかな記憶や、肌着に残された名前、体の特徴などを手がかりに、名乗りを上げた肉親候補との対面が進められる予定だ。言葉の壁はあるものの、一行の代表者は「一目だけでも本当の親に会いたい」と涙ながらに決意を語った。
戦後36年という長い歳月が、調査を困難なものにしている事実は否めない。すでに親世代が高齢化しており、今回の身元確認は「時間との戦い」でもある。国家の翻弄によって異国に取り残された「戦争の落とし子」たちが、再び日本の地を踏んだこの日は、終わらない戦後処理の重みを改めて日本社会に突きつけている。
— RekisyNews 社会面 【1981年】
