【ビキニ環礁/焼津 3月1日】
太平洋の中部、ビキニ環礁において本日、米国による史上最大規模の水素爆弾燃焼実験「キャッスル作戦(ブラボー実験)」が強行された。この爆発は事前予測を大幅に上回る15メガトン(広島型原爆の約1,000倍)という凄まじい威力を記録。立ち昇った巨大なキノコ雲から降り注いだ「死の灰」により、周辺海域で操業していた日本のマグロ漁船第五福竜丸が被曝するという重大な事態が発生した。
第五福竜丸は、米政府が設定していた「危険区域」の外で操業していたにもかかわらず、予想を遥かに超えた爆発規模と風向きの変化により、数時間にわたって白い粉末状の降下物を浴び続けた。乗組員23名は、頭痛、吐き気、皮膚の炎症といった急性放射線症状を訴えており、その容態が深刻に懸念されている。
この実験による放射能汚染は広範囲に及んでおり、周辺諸島の住民や米軍関係者にも被害が出ている模様だ。特に、日本国内では「原爆」に続く三度目の被曝として国民的衝撃が広がっており、水揚げされたマグロの廃棄処分など、食の安全に対する不安も急速に高まっている。
「核の平和利用」が謳われる一方で、制御不能な破壊力を見せつけた今回の実験。太平洋を「死の海」へと変えた爆音は、国際的な核兵器廃絶運動を再燃させる大きな火種となることは避けられない。
— RekisyNews 社会・国際面 【1954年】
