福澤諭吉氏、日刊紙『時事新報』を創刊 ── 「不偏不党」掲げ文明の先導へ

【東京 3月1日】

慶應義塾の創設者として知られる福澤諭吉氏が本日、日刊新聞『時事新報』を創刊した。明治政府による言論への関与や政党間の対立が激しさを増す中、特定の勢力に加担しない「不偏不党」を旗印に掲げた新たな言論機関の誕生に、世評は高く注目している。

創刊号の巻頭を飾った「創刊の辞」において、福澤氏は「我輩の目指すところは、唯だ国権の拡張にあるのみ」と断言。新聞の役割を、国民の知見を広め、独立自尊の精神を養うための道具と定義した。さらに、政治のみならず経済、社会、科学、さらには家事育児に至るまで、実用的な情報を平易な文章で提供する姿勢を鮮明にしている。

『時事新報』の特徴は、従来の政論新聞とは一線を画す多角的な紙面構成にある。福澤氏は、経済を国力の根幹と捉え、詳細な相場情報や海外情勢の紹介に注力。また、論説では時に辛辣なユーモアを交えつつ、旧習を打破し「文明開化」を促進する提言を積極的に行う構えだ。

自由民権運動の熱狂と政府の統制が交錯する現在の日本において、福澤氏が放つこの一矢が、どのような世論を形成していくのか。民間の立場から国家の針路を問う『時事新報』の歩みは、日本のジャーナリズム史に新たな一頁を刻むことになるだろう。

— RekisyNews 社会・言論面 【1882年】

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