【長野・軽井沢 2月28日】
厳寒の軽井沢で10日間にわたって続いた「あさま山荘事件」は本日、警察当局による決死の突入作戦により、ついに終結した。人質となっていた管理人の妻は無事救出され、立てこもっていた連合赤軍メンバーの少年を含む5人全員が逮捕された。
午前10時、深い霧と雪に包まれた山荘に対し、警察は巨大な鉄球をクレーン車で打ちつけ、壁を破壊する強行作戦を開始。降り注ぐ弾丸と放水の激流の中、機動隊員たちは命懸けで山荘内部へと突き進んだ。テレビ中継を通じて日本中が固唾を呑んで見守る中、午後6時すぎ、隊員に抱えられた人質が無事に救出されると、現場周辺には歓声と安堵の溜息が漏れた。
しかし、この勝利の代償はあまりにも大きかった。突入作戦中、指揮を執っていた内田尚孝警視、高見繁思警部が犯人側の銃弾に倒れ、殉職。このほか多くの隊員や民間人が負傷し、現場は凄惨な戦場と化した。
逮捕された坂口弘被告らは、過激な共産主義思想を掲げ、武装闘争による革命を叫んでいた。しかし、この10日間の凶行は、理想とは程遠い暴力の連鎖であり、国民に深い衝撃と憤りを与えた。
山荘の壁に開いた巨大な穴は、戦後日本の平和を根底から揺るがした若者たちの暴走と、それを食い止めた警察の執念を象徴している。人質救出という最大の目的は果たされたが、なぜ若者たちがこれほどまでに過激な行動に走ったのか。事件の全容解明に向けた捜査は、今まさに始まったばかりである。
— RekisyNews 社会面 【1972年】