【東京 2月28日】
本日、衆議院予算委員会の質疑において、吉田茂首相が社会党右派の西村栄一議員に対し、「バカヤロー」と不適切きわまる発言をした。一国の宰相が国会の最高審議の場で見せたこの醜態に、場内は騒然。野党側は「国会軽視も甚だしい」と激しく反発しており、政局は一気に緊迫の度を強めている。
事の発端は、西村議員が吉田首相の外交姿勢や独善的な政治手法を「独裁的である」と追及した際に起きた。執拗な追及に苛立ちを露わにした吉田首相は、答弁を終えて自席に戻る際、消し忘れたマイクを通じて小声で「バカヤロー」と吐き捨てた。これが場内のスピーカーを通じて明瞭に伝わり、委員会は即座に空転。与党内からも「余計な一言だった」と困惑の声が上がっている。
吉田首相はその後、発言を取り消し陳謝したが、野党側は追及の手を緩める気配はない。社会党や改進党などは、これを首相の資質に関わる重大な問題と位置づけ、懲罰委員会への付託や、さらには内閣不信任案の提出も辞さない構えを見せている。
昨年10月の総選挙以来、与党・自由党内では反吉田派の動きが活発化しており、今回の失言が党内抗争に火をつける可能性も否定できない。ある政治評論家は「単なる感情的な爆発が、内閣の命運を分かつ導火線になるかもしれない」と分析する。
戦後の講和を果たし、長期政権を維持してきた吉田政治だが、その傲岸不遜とも取れる態度は国民の批判を浴びることも少なくない。放たれた言葉はもはや取り返すことができず、永田町には解散・総選挙の足音が忍び寄っている。
— RekisyNews 政治面 【1953年】
