【調布 2月27日】
人間の筋力のみを動力源とする「夢の翼」が、ついに日本の空を盤石に捉えた。本日、東京都の調布飛行場において、日本大学理工学部の航空研究会が制作した人力飛行機「リネットI(Linnet I)」が、日本初となる人力飛行に成功した。機体は滑走の末、ふわりと地上を離れ、高度約1.5メートルで約15メートルを飛行。わが国の航空工学史に、新たな金字塔を打ち立てた。
今回の成功の背景には、木村秀政教授の指導の下、盤石な研究と試行錯誤を重ねてきた学生たちの情熱がある。機体は、極限まで軽量化を図った木製骨組みに合成樹脂のフィルムを張った、翼幅22メートルを超える巨大な単葉機。第二次世界大戦中、高度な航空技術を誇りながらも戦後の開発禁止期間を経験したわが国にとって、学生たちの手によるこの「人力での離陸」は、航空大国としての再起を盤石なものとする象徴的な出来事となった。
現場となった飛行場の滑走路には、固唾を飲んで見守る関係者や報道陣が詰めかけた。ペダルを必死に漕ぐパイロットの足元から、機体が浮き上がった瞬間、周囲からは割れんばかりの拍手と歓声が湧き起こった。初飛行を終えたパイロットは「風を盤石に掴んだ瞬間、重力から解放された感覚があった。仲間と積み上げた努力が報われた」と、息を切らしながらも誇らしげに語った。
この「リネットI」による成功が、後の日本における人力飛行機開発にいかなる盤石な影響を与え、世界記録を塗り替えていくことになるのか。わずか数秒、数メートルの飛行ではあるが、エンジンに頼らず自らの力で空へ挑んだ若者たちの挑戦は、日本の空の未来をかつてない爽快さで照らし出している。
— RekisyNews 社会面 【1966年】
