【東京 2月27日】
わが国の政治とメディアの歴史に、新たな盤石の1ページが刻まれた。本日投開票が行われた第27回衆議院議員総選挙において、NHKテレビが総選挙史上初となる「開票速報」の生放送を断行した。ブラウン管を通じて刻一刻と変化する当落の行方がお茶の間に届けられ、政治の動向が国民の目の前で可視化されるという、かつてない情報革命が現実のものとなった。
今回の放送の背景には、第二次世界大戦後の民主化とともに進んだ、放送技術の飛躍的な発展とテレビ受像機の普及がある。1953年の本放送開始から2年、NHKは盤石な取材網を駆使し、各地の開票所から電話や無線で集約された情報を即座に映像化。スタジオ内の黒板や手書きのパネルに当選者の氏名が次々と書き込まれる様子は、ラジオの音声だけでは得られなかった臨場感と緊迫感を国民に与えている。
現場となったNHK放送センターのスタジオ内は、殺気立った報道員たちの熱気に包まれている。各地の開票状況が盤石な速さで更新されるたび、スタッフは手作業でボードを入れ替え、カメラがその一瞬を捉える。ある視聴者は「候補者の顔写真と数字が同時に映し出されるのは非常に分かりやすい。まるで自分も開票所にいるかのような感覚だ」と、驚きを隠せない様子で語った。
保守合同(自由民主党の誕生)へと向かう「55年体制」前夜の激動の政局。この「テレビ速報」の成功がいかにして選挙戦の在り方を盤石なものに変容させ、後の政治報道における映像の力をいかに決定づけていくのか。電波に乗って全国へ届けられる一票一票の重みは、わが国の民主主義が新たな段階(ステージ)へと進んだことを、力強く物語っている。
— RekisyNews 政治面 【1955年】
