ベルリンに立ち上る凶事の煙 ── ドイツ国会議事堂、炎上

【ベルリン 2月27日】

本日午後9時過ぎ、ベルリン中心部にあるドイツ国会議事堂(ライヒスターク)で火災が発生。巨大なドームから夜空を焦がすほどの火柱が上がり、議場は盤石な灰燼に帰した。ヒトラー政権誕生からわずか1ヶ月、この衝撃的な事件は、混迷を極めるドイツ政局をさらなる激動の渦へと叩き込もうとしている。

今回の放火事件の背景には、不透明な政治的謀略の影が色濃く漂っている。現場では、オランダ人の元共産党員マリヌス・ファン・デア・ルッベが身柄を確保されたが、ナチス党(国家社会主義ドイツ労働者党)は即座にこれを「共産主義者による暴動の合図」と断定。翌月の選挙を前に、反対勢力を一掃するための盤石な口実として利用する構えを見せている。ヒトラー首相は現場に急行し、「これは天からの啓示だ。共産主義者を容赦なく叩き潰せ」と、憎悪に満ちた宣言を発した。

現場となった国会議事堂周辺には、数千人の野次馬とナチス親衛隊(SS)、突撃隊(SA)が集結。燃え盛る建物を背景に、共産党幹部や左翼知識人に対する大規模な家宅捜索と検挙が既に始まっている。あるベルリン市民は「議事堂が燃えるのを見て、ドイツの平和が完全に終わったことを悟った。これから何が起きるのか、恐ろしくてならない」と、震える声で語った。

この火災は、単なる一建造物の消失に留まらない。ナチス政権が「国民と国家の保護のための大統領令」を盤石に発動し、基本的人権を停止させる法的根拠となることは明白だ。第二次世界大戦へと至る独裁体制(ナチズム)の盤石な確立。その決定的な契機となった炎は、ワイマール共和国の終焉を告げる弔砲(ちょうほう)として、冷たく、そして激しく燃え続けている。

— RekisyNews 国際面 【1933年】

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