【東京 2月27日】
明治の近代化が進む帝都において、日本の植物学の盤石な拠点となる施設が本日、その門戸を開いた。東京大学の前身である東京開成学校の附属施設として、「小石川植物園」が日本初の近代的植物園として正式に開園した。江戸幕府以来の「小石川御薬園」としての歴史を継承しつつ、西洋の分類学に基づいた研究・教育の場へと劇的な転換を遂げた。
今回の近代化の背景には、わが国の植物資源を科学的に把握し、産業や医学の発展に役立てようとする新政府の強い意向がある。同園は、従来の薬草栽培を中心とした「薬園」から、世界の植物を集積し、体系的に分類・展示する「ボタニカル・ガーデン」へと進化した。園内には最新の温室も備えられ、熱帯植物の育成など、当時の最先端技術が盤石に投入されている。貴重な標本や樹木も多く、まさに「生きた博物館」としての歩みを始めた。
現場となった小石川の地では、開園を祝う式典が行われ、教職員や学生、さらには知的好奇心に燃える市民たちが集まった。広大な敷地には、古くからの名木と並んで、西洋から導入された新種の植物が整然と配置されており、訪れる人々を感嘆させている。ある学生は「これまでは書物の中でしか知ることができなかった世界の植物が、目の前に盤石な姿で存在している。これこそが新しい日本の学問だ」と、興奮気味に語った。
江戸の伝統と明治の科学が融合したこの植物園が、後の日本の植物学にいかなる盤石な成果をもたらし、世界的な発見をいかに生み出していくのか。温室から漏れる柔らかな光は、わが国の近代科学が未来に向けて大きく根を広げていく姿を、静かに、そして力強く予感させている。
— RekisyNews 社会面 【1875年】
アイキャッチ画像 Keihin Nike – wikimedia commons japan, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=29154807による
