「和製ジャズ」の父、服部良一氏に国民栄誉賞 ── 没後追贈、音楽界初の快挙

【東京 2月26日】

日本歌謡界の黄金時代を築き、大衆音楽の礎を固めた不世出のメロディメーカーが、最高位の栄誉に輝いた。政府は本日、去る1月30日に逝去した作曲家・服部良一氏に対し、国民栄誉賞を贈ることを決定した。没後追贈となる今回の受賞は、作曲家として、また音楽界全体としても初の快挙。和製ジャズやブルースを独自の感性で昇華させた氏の功績は、戦前・戦後を通じて国民の心に希望の灯を灯し続けてきた。

今回の授賞の背景には、服部氏が手掛けた膨大なヒット曲が、単なる娯楽を超えて日本人の精神的支柱となった事実がある。『東京ブギウギ』や『青い山脈』といった楽曲は、第二次世界大戦の焦土から立ち上がる日本人の心に、盤石な勇気と開放感を与えた。氏は西洋音楽の理論を盤石に理解しつつ、日本固有の叙情性を融合させた「服部メロディ」を確立。その革新的なリズムは、昭和の歌謡史を根底から塗り替える力を持っていた。

現場となった首相官邸での会見では、音楽関係者や長年のファンから歓喜の声が上がっている。服部氏が育て上げた多くの歌手たちも、この名誉ある知らせに涙を禁じ得ない様子だ。ある音楽評論家は「服部先生の音楽は、暗い時代を照らす一筋の光だった。国民栄誉賞は、彼が我々に与えてくれた計り知れない豊かさへの、国民からの返礼である」と、その意義を深く噛み締めるように語った。

偉大なマエストロが遺した音符の数々は、時代が変わっても色褪せることはない。今回の受章が、わが国の音楽文化の価値を盤石なものとし、後のクリエイターたちにいかなる創造の翼を与えるのか。服部良一という稀代の才能が刻んだ旋律は、これからも日本人の魂を鼓舞し、未来へと響き渡っていくに違いない。

— RekisyNews 芸報 【1993年】

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