「さらば、国際連盟」 ── 松岡全権大使、総会を退場し脱退宣言

【ジュネーブ 2月24日】

世界の平和を維持すべき国際連盟の議場において、わが国はついに「孤立」という苦渋の道を選択した。本日、国際連盟総会は、満州事変の処理に関するリットン調査団の報告書を42対1(反対は日本のみ)の圧倒的多数で採択。「満州を日本の支配下と認めず、国際管理下に置く」という最終勧告に対し、日本全権大使・松岡洋右(まつおか ようすけ)氏は即座に抗議の意思を表明。連盟脱退の宣言を行い、議場を後にした。 これにより、日本は国際社会の協調体制から事実上離脱し、激動の東アジア情勢は予断を許さない新局面へと突入した。

今回の決裂の背景には、わが国の「満州国」建国という既成事実と、それを国際法違反と見なす連盟側との修復不可能な溝がある。リットン報告書は、日本の正当防衛を否定しつつも、事変前の状態に戻すことは現実的でないとして、「中国の主権下での高度な自治」と「国際管理」を提案。しかし、国内の強硬な世論と陸軍の意向を背負った日本政府にとって、満州の権益を放棄するこの勧告は到底受け入れられるものではなかった。松岡氏は演説で「日本は平和の敵ではなく、極東の安定を守る唯一の勢力である」と訴えたが、その声はジュネーブの空に空しく響いた。

現場となったジュネーブの総会議場は、松岡氏が演説を終えて席を立ち、毅然とした態度で通路を歩む姿を、各国の代表たちが沈黙と驚愕をもって見守るという、張り詰めた静寂に包まれた。松岡氏が扉の向こうへ消えた瞬間、議場にはどよめきが走り、ある欧州の外交官は「これで東洋の窓は閉ざされた。平和への最後の糸が切れたのだ」と嘆息した。一方、随行員たちは「もはや一歩も引けぬ。これこそが帝国の選んだ誇りある孤立だ」と興奮した面持ちで語り、ジュネーブの寒空の下で、日本の国際的孤立を決定づける重い足音が響き渡った。

この連盟脱退という決断が、日本をさらなる軍事化へと突き動かし、後に第二次世界大戦へと繋がる軍事同盟の模索を加速させるのではないかとの見方もある。また、国際的な監視の目が届かなくなった満州において、日本の独走がいかなる軍事的緊張を招き、ワシントン体制の完全な崩壊を盤石なものにしていくのか。松岡洋右が閉じた議場の扉が、日本の、そして世界の運命にいかなる暗雲をもたらすのか、その行方が鋭く注目される。

— RekisyNews 特報 【1933年】

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