【ミュンヘン 2月22日】
ナチス・ドイツによる戦時体制下、体制への異議を唱えた若き学生たちの命が、非情な司法の手によって奪われた。本日、ミュンヘンの人民法廷において、非合法組織「白いバラ」の主要メンバーであるハンス・ショル氏(24)、ゾフィー・ショル氏(21)、およびクリストフ・プロープスト氏(23)に対し、国家反逆罪による死刑判決が下された。判決は言い渡しからわずか数時間後、シュターデルハイム刑務所にてギロチンにより執行された。
今回の事件は、ミュンヘン大学の学生であったショル兄妹らが、大学構内で反戦を訴えるビラを撒いていたところを摘発されたことに端を発する。彼らは「白いバラ」という名の下に、独裁政治の終焉と個人主義の尊重、そしてキリスト教的倫理に基づいた良心の自由を呼びかけていた。特に、ドイツ軍が壊滅的な打撃を受けたスターリングラードの戦い以降、彼らの活動は「敗北主義を広める利敵行為」として、ゲシュタポ(国家密警察)による厳重な監視対象となっていた。ベルリンから派遣された「血の裁判官」ローランド・フライスラーは、法廷において彼らを激しく罵倒し、情状酌量の余地を一切認めなかった。
現場の裁判所周辺では、親衛隊や警察による厳戒態勢が敷かれ、異様な静寂が支配している。傍聴した関係者によれば、ゾフィー氏は死面を前にしても「太陽はまだ輝いている」と毅然とした態度を崩さず、ハンス氏は処刑の間際に「自由よ、永遠なれ!」と叫んだという。大学構内では、彼らの摘発に加担したとされる用務員の行動を冷ややかに見つめる学生もいれば、報復を恐れて固く口を閉ざす教授たちの姿も見られる。自由を求めた若者たちの声は、鉄の規律に覆われた街の片隅へと消えていった。
第二次世界大戦の出口が見えぬ混迷の中で、この「白いバラ」が遺した良心の叫びが、ドイツ社会にいかなる波紋を広げていくのか、その行方が鋭く注目される。
— RekisyNews 社会面 【1943年】
