【ワシントン 2月21日】
明治維新以来、半世紀にわたる悲願がついに結実した。本日、ワシントンにおいて、日本の内田康哉駐米大使とアメリカのノックス国務長官との間で、改正日米通商航海条約の調印が執り行われた。この新条約により、幕末の安政五カ国条約以来、わが国の経済的発展を阻んできた最大の足枷である不平等条約が事実上撤廃され、関税自主権の完全なる確立が達成された。
今回の条約改正を主導したのは、第二次桂太郎内閣の外務大臣、小村寿太郎公である。1894年(明治27年)に陸奥宗光元外相が果たした領事裁判権(治外法権)の撤廃に続き、今回の改正により、自国の輸入品にかける税率を自ら決定できる権利を回復した意義は計り知れない。調印の場となったワシントンでは、終始和やかながらも張り詰めた空気の中、両全権が署名を交わし、極東の振興国・日本が欧米列強と名実ともに対等な国際的地位を得たことを世界に知らしめた。
現場の報道によれば、新条約では不平等な協定関税が廃止され、今後は日本の国内法に基づく国定関税が適用されることとなる。また、懸案であった日本人移民の入国制限に関する差別的条項も削除された。ただし、日本側はこれに併せ、日本人労働者の渡米を自主的に制限する「紳士協定」の継続を宣言している。
この快挙により、わが国の産業保護と財政基盤の強化が一段と進むとの見方もある。また、日露戦争の勝利を経て名実ともに一等国の仲間入りを果たした日本が、今後のアジア外交においてどのような指導力を発揮していくのか。列強諸国との新たな協調関係の構築とともに、国民の自信と期待がかつてないほど高まるものとして注目される。
— RekisyNews 社会面 【1911年】
